【Floor_08】

「何を悲嘆にくれている!進むしかなかろう」
ローブの老人だ。ギルは少し困惑気味で尋ねる。
「貴方は一体何者ですか?」
「そちを良く知る者だ。ギルよ、いずれ全てを知る時が来る。が、今は急いでロッドを取り戻す事が先決じゃ」
「この剣は・・?」
老人は、答える。
「そちの剣は由緒ある名剣じゃ。長い間にその威力は鈍ってしまっているが、いずれ破邪の剣として甦るはずじゃ。」
「バビルム王家に伝わるこの剣は、破邪の力を持つのか?」
「そう、どんな魔物をも打ち滅ぼす事の出来る【破邪の剣】じゃ。その剣が持ち主の事を気に入れば、本来の力を覚醒させるであろう。」
「覚醒・・」
ギルは呟く。老人の顔は少し緩み、ギルの顔を見やった。
「今回は私が喝を入れてやった。少しは切れ味も良くなったであろう。後はお主しだいだな」
そう言い終わると、通路の先を見つめ呟いた。
「ん・・敵が来るぞ。ギルよ、用心するのじゃ・・」
老人はそう言い残して闇の中へ・・。闇に向かってギルは小声で老人を呼ぶ。
「ご老人!?」
もう、そこには誰もいない・・。
通路の先から”カツカツ”と足音が聞こえてくる。

▲一つ戻る ▼進む