【Floor_04】

ローブの男が言う。
「その剣を鍛えなおしてあげよう。こちらへ、来なさい。」
良く見ると入り口まで案内してくれた男だ。
「直せるのか?」
ローブの男はゆっくり頷(うなず)き、不思議な音色のする鈴を鳴らしながら、階を昇って行った。ギルは何故男が鈴を鳴らすのか不思議に思ったが、そのままその男に付いて行く事にした。


しかし、階を上がったものの、先程のローブの男が見当たらない・・。
当たりの様子を伺うギルに、何処からともなく男の声が響いた。
「お主がいかに優れた剣術の持ち主であろうとも、それだけでは魔神とそれに使える神官共を倒せぬぞ!」
その声にギルが聞き返す。
「では、どうすれば良いのだ?」
「奴らは強力な幻術を使う。それを防ぐには強い精神力が必要じゃ。一瞬でも心を奪われてしまえば命取りになるからな。その良い例が先程お主と戦った者だ。彼は屈強な戦士でありながら一瞬にして神官達の術に嵌(はま)り、魂を抜かれてしまったのだ。剣だけに頼るのでは無く、精神を強めねばならぬ!」
ローブの男が暗闇の中から現れる。
「私が手加減してそなたの相手をしてやろう」
「何?どう言う事だ!?」
腰に手を回すが、剣は無い。
「しまった。迂闊にも先程剣を渡してしまった・・」
ローブの男は強い口調で怒鳴った。
「まだ分からぬか!剣に頼るのでは無く心で戦うのじゃ!ワシを倒すにはその腰に差した小刀で十分じゃ。では、こちらから行くぞ!」

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