【序章】

目の前にそびえるのは、天まで届く塔。人間が天の光を手に入れようとして造られた建物だ。

「大したモノだな。人間って奴は・・・」
全身甲冑を身に付けた青年は、その巨大な塔を見て呟(つぶや)いた。
「悪魔も、この力を放っときはしなかったわけだな・・」

青年の名は【ギルガメッシュ】本来ならば、この国の王子であり王となる者。それが今はたった一人の案内人が引く馬車に揺られ塔を目指している。馬車を引く男がニヤリと笑みを浮かべ口を開いた。
「勇士様、アンタあの塔は今回が初めてじゃないね。前髪を垂らして額を隠してなさるがアッシには分かりますよ。」
ギルは右手で額を押さえ、目を閉じた。ほんの一時沈黙が続いた。そしてギルは口を開いた。
「ああ、戻って来たんだ。」

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